東京地方裁判所 昭和46年(ワ)7485号 判決 1972年9月22日
理由
一 請求原因事実のうち訴外会社が訴外信用組合から金一二〇〇万円を借受け、原、被告および訴外木下が右債務につき連帯保証したことは当事者間に争いがない。
《証拠》によれば、右債務の内容が原告主張のとおりであること、《証拠》によれば、原告が右債務につきその主張の日時、主張の額の弁済をしたこと、《証拠》によれば、訴外会社はその後倒産し、代表取締役である訴外木下も行方不明であつて、償還に応ずる資力がないことがそれぞれ認められ、右各認定に反する証拠はない。
二1 抗弁1の事実については、これを認めるに足りる証拠がない。のみならず、《証拠》を総合すると、原告は訴外会社と被告主張のような契約をし、訴外会社から主張の額の金員を受領したことがあるが、それは訴外豊田喜十郎に対する債務に関するものであつて、訴外信用組合に対する本件債務に関するものではないことが認められる。
右抗弁は採用できなない。
2 抗弁2のうち、原告が本件債務に関してその所有の不動産に抵当権を設定していることは当事者間に争いがない。
被告は、右のように連帯保証人が同時に物上保証人の地位をも兼兼ねている場合には、民法五〇一条五号の適用上、「頭数」を三人とするのが相当であると主張する。
しかし、右の場合には、連帯保証人二人のほかに物上保証人一人が存在する場合とは異なり、一人につき単にその担保方法が二つ存在するに過ぎないものというべきであるから、同条の「頭数」は二人とするのが相当である。
右抗弁も採用できない。
三 よつて、原告の本訴請求は理由があるから認容
(裁判官 内藤正久)